道場スピリット マネージャー・北原希代子 作
#34あるべき自分で居させてくれる街、銀座

二〇一四年「銀座時間」という雑誌インタビューの中で、道場は、自分の料理は銀座の街に育てられた「銀座の料理」だと言っています。道場曰く「銀座人には特別な美意識があり、老舗の旦那衆には、お客様より高級な外車に乗らないとか、生活の中の所作一つ一つにも、そうした美意識が積み重なって、特別な空気が流れている」と。
二〇一八年の現在、銀座の中央通りには外国ブラントの店が建ち並び、世界中から有とあらゆる価値観が持ち込まれ、世界の料理を味わうことができる。そんなグローバルな地銀座にあって、日本料理に新たな可能性を見出しながら、いつも自分らしい料理を求めて来た。目も舌も肥えた銀座のお客様と対峙する緊張感が、自分の料理をここまで磨き上げてくれたのだと感じているようだ。
また、二十歳のときから銀座を見てきた道場に取って、この街は反省の場でもあるのだという。銀座の街を歩きながら、ショウウインドウに映る自分の姿に背筋を伸ばし、あるべき自分を取り戻す。店にあっては俎板映えから、包丁使い、箸使いまで、すべて舞台に立つ役者のように細かな所作まで気を配る。こうして銀座の持つ、街と人の美意識に今を照らすことで、自分が何を成すべきか、あるべき自分を意識させて貰える街だと。

この「銀座時間」という情報誌は、例えば「赤坂時間」と言うように、その街々に相応しい人物のインタビューを載せているが、よくぞ道場を「銀座時間」に選んで頂いたと、こちらから礼を言いたいほど道場に相応しいインタビューだった。銀座に渡し船があった時代から世界中のブランドが犇めく街へ。その変遷を見ながら、しなやかに自分の料理を貫いてきた道場の人生は、いつでも前に進もうとする、おしゃれな街銀座そのものだからだ。

★銀座の中央通りは「日本の道一〇〇選」にも選ばれているそうです。
もともとこの通りは家康が日本橋を起点に整備した東海道の一区間。

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