道場スピリット マネージャー・北原希代子 作
20年余りマネージャーを務めてきた北原さんが、
親父さんの傍で見聞き、体験した珠玉のお話をまとめた
「道場流が溢れる」貴重なエッセイです。
道場は「料理一代」とよく言いますが、道場の代表的な料理もレシピも道場だけのものだと思います。同じ食材、同じレシピで作っても、道場六三郎の料理には成りえない。弟子たちに残せるとすれば、それは道場の「スピリット」魂のような思いではないでしょうか。
北原希代子
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#10定番でありながら進化する皿

道場の定番料理の一つに「海鮮カルパッチョ」がある。現在でもよくコース料理の一品として提供されるこのカルパッチョは、皿に野菜を盛り、その上に海鮮の薄切りをのせ、ぽん酢ベースのトリフドレッシングを掛けてバーナーで炙ったものが基本である。河豚や鮑、水ダコといった季節の魚介に加え、もやし、黄ニラ、ネギ、エノキダケ等野菜との組合せも無限大にあり、ときにはハチノス(牛の第二胃)なども入れてみることがある。
このカルパッチョは、道場の定番料理でありながらいまだに進化を続ける逸品だ。元々は大皿に唐辛子入りのオリーブオイルを敷き、その上に薄く削ぎ切りにした刺身(魚介)を並べて食べてもらい、食べ進んだところでその皿ごと火にかけて、今度は半分火の通った刺身を味わってもらうという、一つの料理で二つの味を楽しめる料理として考え出されたものだった。それがドレッシングをかけバーナーで炙るように成り、野菜を加えた具材も折々の季節の食材へと変化していった。

 

海鮮カルパッチョ

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